やわらかい骨

塞がりかけていた穴を再び刔った。
再生していた皮膚を貫いて、けれど柔らかい骨はあの頃のままだったので随分と楽に再貫通を果たしたのだった。
痛みは喜びだ。
ただ諾々と在るだけの日々からの脱却。
ということにしておいて、何はともあれ耳の軟骨には金属片が突き刺さっている。外傷の熱は引いたが昂揚感も引いてしまった。
  
私は私でしかないのだけれど
私は特別な私になりたいので
  
痛みでどうにかなりたいなぁなどと考えながら、それはそれ社会人なのでそこそこに髪の毛でピアスを隠したりなんかしながら息を潜めるのでした。