ベッドの中のデイドリーム

夢と現実の境が、あまり、ない。
明け方、コミュニケーションを怖がる飼い猫が布団の中に入り込んできて、私の胸の上で寝ていることに気が付いて目が覚めた。一人と一匹の体温で汗ばみ、まるで真夏日のようだ。けれど私が身じろぎをしてしまうと胸の上の彼女は逃げ出してしまうから、再び眠りに落ちた。滴るほどの汗を不快に思うより先に疲れていた。もう一人の彼女、幼い飼い猫がベッドへ飛び乗ってきたことを感じながら眠る眠る。
携帯電話の着信音で再び目を覚ます。気になっている彼女からのメールだ、それも一通目は打ち間違えたらしく律儀に訂正の二通目まで。なかなか開かないまぶたと重い頭で、彼女と繋がる喜びだけを感じた。けれど眠い。もう駄目だ。三度、四度めかも知れない、また眠る。何度でも眠りに落ち続ける。
もちろん寝室のドアは閉めていたから猫たちはこの寝床に侵入することなど不可能だし、彼女からのメールは届かない。目が覚めた私はすでに夢を思い出せず、けれど何か幸せだったような。そうだ後で彼女にメールを返さなければと思いながら忘れていき、
 
また同じ寝床へついた今やっと、昨朝の夢の断片が無数に頭に刺さってくるのだ。
ああそうだったテーマパークでデザートを売る仕事に今日も出掛けなければ、そして塗装工の彼が然り気無くこの夢の国に施し続ける七色の謎かけを解き明かさなければいけない、彼の謎を解けるのは私しか居ないのだから!
おやすみなさい、おやすみ、夜になれば思い出せない昼間のあれこれ。夢と現実の境がいつからかない。