ただの日記

賑わう終電の車内で、数瞬、夢を見た。
あの建物や会場前の特徴的な階段は恐らく名古屋の市民会館。
彼女がいた、彼女もいた、誰かが作ったケーキ、寒くなってきた風、彼女の危険な運転、迷路のような公園、夜の港へドライブ、朝までトーク
 
あの頃の(あの頃から?)私に個性など特になく、強いていえば煩わしい程の抱きつき癖と連呼連呼連呼「あいしてる!」
そのくせ彼女からの2人きりの誘いは煙に巻くように逃げ、彼女に見られないように彼女を抱きしめられるタイミングを狙い、トーンを間違えないように「だいすき」と。彼女にしか言わないだいすき。
けれど彼女には散々窘められた、な。
「抱きつくのは少し控えて、愛の言葉は大切なときに使いなさい」
それじゃあ抱きしめるのは一日3回までにするよ、今が1回目でいい? ありがとう、あいしてるだいすき!
傷つくのが怖い私は大袈裟な身ぶり手ぶりと誇大広告をばら撒いて、本当の想いも紛れ込ませる。
 
何の気なしに抱きしめてしまう癖が出るたび思い出す、
彼女の呆れたような顔、彼女には誤魔化さずに本気で伝えるべきだったという後悔。
あの頃から成長のない私を戒める夢。
いつかは。いつかは?