ビター

とても怖がりな飼い猫は、どことなく私に似ている
隅に隠れて
衝撃を避けて
物音に耳をすませて
裏切られても傷付かないように誰のことも信じない
振り払われたりしないようにその膝や胸で甘えたりしない
身動きがとれないから抱き締められるのは却下
手をのばせば逃げる
 
けれど本当は甘えたい、撫でてもらいたい
から恐る恐る近寄ってくる、が、
君にとってのギリギリのラインで保っている
いじましく足元で身を丸め眠っている
 
……そんな不器用な愛情表現を愛しいと思って微笑んでしまうように、
私のことも愛してくれる人がいればな、などど。
 
そんな薄気味の悪いことを考えながら身を丸めて眠ります。ぶにゃぁ。