ときめく

もう2年も前の冬のことなのだと気がついた。
「これが毎日続いたら恋になってしまう。」
と思うような胸の高鳴りのお話。
そして気が付く。
 
「フラグの発生はいつも同じ条件!」
 
というのも相手がよく喋ること。それだけだ。
あの子はよく喋る子だった。しかし聴き上手でもあった。
あの人はよく喋る人だった。しかし拾い上手でもあった。
周囲に疎まれないという驚異の神業。
あれだけ喋るのに、だ、余計なことをせず、でしゃばらず、それなのにまた喋っている。楽に呼吸をしている。
どういうことだろうあれはなんだろう。
私が出来ないことを簡単にやってのける人。
 
 
……つまり私のこれは恋ではなく憧れなんだろう。
恋だなんて言い張って、好きだなんて押し付けて、あぁ、あの人には悪いことをしたな。
私は君になりたかった。
私は君になりたかった。
私は君になれなかった。
私は君になりたかった。
 
だから君の笑顔をいつでも見ていたいこんな想いを、やっぱり恋だったと言っても良いだろうか。
いつか新しい恋をしたとしても思い出すのは君なんだろう。